乾燥処理の差異がイタリアンライグラス乾草の香気成分に与える影響について
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概要
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乾草特有の香気成分を明らかにするため,イタリアンライグラス生草を天日,真空凍結あるいは火力乾燥し,その香気成分をTenax-GC法及び水蒸気蒸溜法により捕集し,GCとGC-MSを用いて分離同定した。生草中ではエステル類とアルコール類が主な成分であり,これらの中で1-penten-3-ol,cis-3-hexen-1-ol,cis-3-hexenyl acetate及びtrans-2-hexenyl acetateがとくに大きな成分であった。乾燥処理はこれらの香気成分に大きな影響を与えた。真空凍結及び火力乾燥処理は,その直後の乾草の揮発性成分の数を天日乾燥処理にくらべ著しく減少させた。また,火力乾燥を行ったものでは焦げ臭が加わって,furan,pyrazine及びpyrrole類の成分が検出された。しかしながら,真空凍結及び火力乾燥品の貯蔵の過程で揮発性成分の数は増加し,乾燥処理1ヵ月後では,天日,真空凍結及び火力の乾燥処理方法にかかわらず,これらの貯蔵品の香気成分の組成はほとんど類似したものとなった。生草と乾草中の香気成分を比較してみると,乾燥処理によって,生草中に認められたかなり多量のエステル類及びアルコール類はほとんど消失あるいは減少し,反対に,乾燥1ヵ月後の乾草ではbutenal,pentanal,3-methylbutanal,trans,trans-2,4-hexadienal,hexanal及び2,4-heptadienalなどのアルデヒド類ならびにpropionic acid及びcaproic acidなどの酸類の数が増加することがわかっだ。とくに,アルデヒド類の中では貯蔵中におけるhexanalの増加が著しかった。乾草調製過程で新しく形成されるこれらのアルデヒド類及び酸類が,乾草特有の香気形成に重要な役割をはたしていると思われた。
- 日本草地学会の論文
- 1981-04-30
著者
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