牛の消化管内における飼料由来の揮発性成分の変化
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概要
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草地における排ふん過繁地の形成は,草地の生産および管理を著しく阻害している原因となっている。この排ふん過繁地は,牛が自らの糞のにおいを嫌うために出来るものであるので,糞特有の臭気成分が給与飼料から生成される過程を究明し,その対策を講ずる必要があると考えられる。本実験では2頭のホルスタン種去勢牛にイタリアンライグラス(Lolium multiflorum LAMARK)ヘイレージ,ルーサン(Medicago sativa L.)ヘイキューブあるいはルーサンヘイキューブと配合飼料とを組合わせたものを給与し,その場合の飼料,ルーメン及び十二指腸内容液,さらに糞からのヘッドスペースガスをTenax-GCにより捕集し,GCあるいはGC-MGにより分離同定した。ルーメン内では,飼料由来のいくつかの香気成分は分解を受け減少あるいは消失するように思われ,同時にいくつかの臭気成分が新たに生成されるのが認められた。その臭気成分はトリメチルアミン,メチルエチルケトン,フェノール,p-クレゾール,インドール及びスカトール等であった。ルーメン内容液が示すpH値の範囲内では,ヘッドスペースガス中にVFAsを検出することは出来なかったが,しかし,塩酸を加えルーメン内容液のpHを2.0の酸性にしたとき,VFAsが検出出来るようになった。飼料の香気成分と糞の臭気成分を比較すると,糞特有の臭気成分はメチルエチルケトン,フェノール,p-クレゾール,インドール及びスカトールであった。これらのほとんどはすでにルーメン内で生成され,糞へと移行してきたものと考えられた。消化管内容液のヘッドスペースガスは給与飼料による影響を受けた。たとえば,ルーサンヘイキューブと配合飼料とを組合わせたものを給与したとき,イタリアンライグラスヘイレージ給与のものにくらべ,検出される臭気成分の数は多く,かつ検出される硫黄化合物の臭気成分の数も増えた。
- 日本草地学会の論文
- 1980-07-31
著者
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