牛の第一胃内容液中のトリメチルアミン濃度とその前駆物質について
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概要
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去勢牛の第一胃内容液(RJ)からトリメチルアミン(TMA)をGC-MSにより分離同定した.次に,第一胃フィステル装着の去勢牛4頭に,5.0kgのルーサンヘイキューブ及び3.5kgの配合飼料(Diet I),8.0kgのルーサンヘイキューブ(Diet II)あるいは8.0kgのイタリアンライグラスウェハー(Diet III)をそれぞれ給与し,GCを用いRJ中のTMA濃度の推移を調査した.いずれの牛においてもTMA濃度は,給与開始後2〜3時間に最高濃度に達し,その後減少する傾向を示した.Diets I, II及びIII給与時の最高平均TMA濃度は,RJ100ml当たりそれぞれ695,706及び418μgであった.RJ中のTMA-N:NH3-N比は,TMA-Vの最高濃度時において1:8.6であった.これらのことは,通常飼料給与時において牛の第一胃内で,TMAが生産されることを推測させる.また,TMAの前駆物質であるベタイン,コリン及びトリメチルアミンオキサイド,あるいはフィッシュミール,ナタネ粕及び大豆粕を,それぞれフィステルを通じ去勢牛の第一胃内に投与したところ,TMAが第一胃内で生産されることが確認された.しかしながら,カゼインあるいはスターチと混合した尿素を投与したところ,TMAの生産は認められなかった.このことから,通常の飼料給与時に認められるRJ中のTMAは,上記TMAの前駆物質などに由来するものであり,アンモニアのメチル化によって生じるものではないと推定した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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