生育にともなう青刈りイタリアンライグラスの香気成分の変化について
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概要
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牧草の生育段階別の香気成分の変化を調べるため,イタリアンライグラスを栄養生長期,開花期,乳熟期及び糊熟期の生育段階別に刈り取り,それぞれの生草150gをガラス容器に入れ100lのN_2ガスを通気し,N_2ガス中に含まれる香気成分をTenax-GC法により捕集し,GC及びGC-MSを用いて分離同定した。また,主要な香気成分については定量も行った。N_2ガス100l中の各成分量(μg)は以下の枠内に示した範囲内で変化した。1-Penten-3-ol (4.1-1.4),cis-3-hexenyl acetate (200-0.3)及びcis-3-hexen-1-ol (50-1.3)は生育が進むとともに減少し,反対に,iso-amyl alcohol (0-2.7),3-octanone (0.1-6.6)及び1-octen-3-ol (1.9-3.2)は生育が進むとともに増加した。cis-3-Hexenyl acetateはcis-3-hexen-1-olに似た青臭さを持ち,また,乳熟期までのヘッドスペースガス中にもっとも多く含まれる成分であるので,青刈りイタリアンライグラスの香気の形成には大きく寄与している成分と思われた。乳熟期まで増加し糊熟期には減少する香気成分には,ethyl acetate (5.6-10.2-0.4)及びethanol (0.3-1.9-1.0)があった。trans-2-Hexen-1-ol (0.9-1.2)及びtrans-2-hexena1 (0.6-0.9)は栄養生長期と開花期には認められたが,その後の生長期には検出することができなかった。また,3-octanol (1.5)は糊熟期のみに認められた。以上のことから,イタリアンライグラスの香気成分は生育にともない著しく変化することがわかった。
- 日本草地学会の論文
- 1981-10-30
著者
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