火山灰土の粒径と比表面の関係

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アロフェン質火山灰土の基本的性質を究明するために,粒径分布と比表面を対比することによって,個々の粒径の土粒子が比表面とどのような関係にあるか,団粒としてみた場合の比表面に対する役割はどうか,力学的エネルギーを加えた場合どのように比表面が変化するかなどを明らかにすることを目的として,水蒸気吸着により比表面を調べて以下の結果を得た。火山灰土を単粒化して,個々の粒径の比表面を測定した結果,粗砂の比表面は71.8〜22.5m^2/gという大きな値であり,このことは火山灰土の粗粒子は多孔質な火山ガラスからなるという事実と一致していることが認められた。また,細砂では18.4〜14.9m^2/gの比表面が得られた。37μ以下のシルト,粘土分については,225,8m^2/gの比表面が得られ,これは主要粘土鉱物とされるアロフェンの支配が大きいと考えられる。各粒径別の比表面測定値と粒度分析による各粒径の土粒子の重量含有率とから火山灰土としての比表面を計算より求めた結果116.4m^2/gの値を得た。この値は本実験における比表面の実測値116.6m^2/gとほぼ一致する。これらのことから,細粒土を多量に含む火山灰土の比表面は,それを構成する粘土鉱物(本実験の火山灰土ではアロフェン)によって大きく支配されるが,粗砂分についても極めて多孔質な土粒子が含まれていることから,全体の比表面に大きく関与していることが推察された。一方,火山灰土を団粒としてみた場合,その個々の粒径別の比表面の差はほとんどなく,大略100m^2/gであった。この団粒の構成粒子については,粒度分析と比表面との関係や,団粒の粒径別の比表面測定の結果などから,大きな団粒も小さな団粒も同一な重量割合と比表面をもつ単粒から構成されていると考えられる。したがって,その比表面は団粒径よりも粘土鉱物などの構成粒子によって支配されるため,どの粒径の団粒も同様な値が得られたと推定される。以上のことから,火山灰土の基本的性質はそれを構成する一次粒子の影響をかなり受け,その中でも特に多孔質な土粒子や粘土鉱物によって大きく支配されていることが推察される。また,その基本的性質の一つである土性を考える場合,単に粒度分析からだけでなく,その粒径分布と比表面とを同時に考察することによって,より明確に知ることができるであろう。
帯広畜産大学の論文
1979-11-20

火山灰土の粒径と比表面の関係

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