上富良野町およびその周辺における十勝岳山麓諸河川の水質について

概要

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われわれは数多くの爆発記録をもつ活火山十勝岳の山麓地帯を流れる河川の異常水質の実態を知るために,石狩川の第2次支流富良野川に6ヵ所,第3〜4次支流の8河川にそれぞれ1ヵ所ずつ8ヵ所,さらに富良野川が注ぐ第1次支流空知川の合流点上および下の2ヵ所,計16ヵ所に観測点を設定した。そして,昭和44年5月より同45年3月までの間に12回にわたって採水し,29項目につき水質検査を実施した。その調査成績を要約すればつぎのごとくである。(1)十勝岳新噴火口付近に源を発する富良野川上流がいちじるしく高い酸度を表わし,低いPH値,高い硫酸イオン量,溶解性物質,総硬度,カルシウムイオン,マグネシウムイオン等の顕著な含有を示している。しかしながら,この富良野川も各支流を合わせて下流にいたるにしたがい,各項目の数値がしだいに緩和されて空知川に注ぐ。(2)富良野川に注ぐ第3〜4次支流8河川のうち,もっとも酸度が強く,関係諸項目とも富良野川上流についで高いのは,上ホロカメトク山の旧噴火口付近に源を発するヌツカクシフラヌイ川であり,またこれにつぐものとしてコルコニウシュベツ川が挙げられ,以下シブケウシ川および江幌完別川などがある。これらの河川の異常水質は火山爆発に関連のあるものと推定される。(3)第3〜4次支流のうち,ピリカ富良野川,鰍川,エバナマエホロカンベツ川およびベベルイ川の4河川の水質は大きな異常を示すことなく,各種生活,産業用水源として適当であるもののようである。(4)富良野川が空知川に注ぐ合流点の下流の水質を,上流のそれと比較すれば,明らかに富良野川の特異な水質の影響を受けていることをうかがい知ることができる。(5)これら諸河川につき,汚濁の進行や重金属の含有については特記することがない。
1974-03-20

上富良野町およびその周辺における十勝岳山麓諸河川の水質について

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