酪農用水の汚濁源に関する研究 : I.殿粉製造廃水について

概要

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著者は十勝地方の主な殿粉製造工場を5ヵ所選び,1968〜1969年の2年間にわたり殿粉製造放流廃水の調査研究を行なった。また,そのうちの1工場については殿粉製造の各工程より排出される廃水の性状と,その廃水の処理される過程における水質の調査もあわせ行なった。検査項目はpH値,濁度,透視度,全蒸発残留物,溶解性物質,懸濁物質,溶存酸素,BOD,CODおよび過マンガン酸カリウム消費量の10項目で,主としてJIS法および下水試験法にしたがって分析検査した。その成績を要約すると,つぎのとおりである。(1)各工場の放流廃水の平均値は,BOD90〜625ppm,COD96〜211ppm,過マンガン酸カリウム消費量196〜481ppmで,製造工程,製造設備および廃水処理機によって各工場それぞれ特徴が認められた。(2)そのうち1工場の殿粉製造各工程より排出される廃水とその廃水処理過程の水質に関する調査では,各種廃水の特徴を確認した。まず,BODについて,デカンター濃厚汁液は23,000PPm,デカンター廃水18,000ppm,第1次セパレーター廃水2,200ppm,第2次セパレーター廃水710ppmなどが高く,CODもほぼこれに準じた。これに反してブリューム洗浄廃水はBOD,CODともに低く,濁度850ppm,懸濁物質280ppmなどが相対的に高い。(3)とくに噴射曝気,蛋白回収あるいは濃厚汁液全量回収の各装置設置等の廃水処理機構の改善は放流廃水の性状にかなり変動を与えるものであることが認められた。(4)殿粉廃水の各検査方法について若干の検討を行なった。(5)殿粉廃水に起因する河川水や地下水の汚濁が飲料水や水産用水のみならず,酪農用水をも汚染させる可能性のあることを強調する。終りに臨み,本研究の遂行に絶大なご便宜を賜わった北海道開発局帯広開発建設部治水課ならびに管理課の当路の方々に深謝するとともに,適切なご助言をいただいた北海道立衛生研究所中村俊男博士ほか各位に謝意を表する。
帯広畜産大学の論文
1971-09-16

酪農用水の汚濁源に関する研究 : I.殿粉製造廃水について

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