牛の乳房から分離したコアグラーゼ陽性ブドウ球菌の生物学的性状について

概要

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牛の乳房に由来するコアグラーゼ陽性ブドウ球菌の生物学的性状の相互関係を知る目的で,分離した該菌84株の各種生物学的性状の検査を行なった。その結果,線維素融解性(FL),牛プラズマ・コアグラーゼテスト(BPC),卵黄因子(EY),クリスタル・バイオレットテスト(CVT)および溶血能の間に,関連のあることが認められた。また,人系ブドウ球菌が牛の乳房内に分布している可能性についても考察した。得られた成績を要約すればつぎのごとくである。1)84株中6株(7.2%)はFL(+)であり,またいずれもBPC(-)であった。これらのうち3株は,人系株と思われる生物学的性状を示した。すなわち,FL(+)・BPC(-)・EY(+)・CVT(菫色)およびα溶血性を呈した。このことから,牛の乳房内に人系ブドウ球菌の交叉分布している可能性が推定される。2)BPC(+)29株(34.5%)は,いずれもFL(-)であり,その大多数はEYの成績にかかわらずCVT(黄色)であった。3)分離菌の43.9%は,FL(-)・BPC(-)およびEY(+)であり,これらはほぼ同等にCVT(董色または黄色)を呈した。また,FL(-)BPC(-)・EY(-)株は,12株(14.4%)分離されたにすぎず,これら菌株のCVTに関しては,前述のEY(+)株の場合と同様の傾向を認めた。
帯広畜産大学の論文
1971-09-16