イネ科牧草3草種を水中に浸した場合の葉身横断面からのミネラル遊離割合
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概要
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牧草中に含まれるミネラルの家畜による利用率は,ミネラルの種類及び草種によって異なる。この違いには,牧草組織から消化液中へのミネラルの遊離割合が関係すると考えられる。本研究は,牧草の葉身横断切片を一定時間蒸留水に浸漬した時の元素密度の変化をェネルギー分散型X線分析によって比較することにより,ミネラルの遊離割合を元素間及び牧草々種間で比較したものである。供試草種はトールフェスク,オーチャードグラス,ペレニアルライグラスの3草種であり,試験1では1992年7月20日,試験2では1993年7月15日に採取した。葉身中央部から約0.5mmの厚さで横断切片を作成した。測定は,JSM-5300LVを使用して行い,K,Ca,Mg,Si,Cl,S,Pの7成分を対象とした。測定対象部位は,維管束を中心とした両隣の維管束との中間部までを1単位とした。元の試料のX線分析の結果,元素密度の最も高かったのはSiであり,KとClが続いた。元素の植物体からの遊離は1時間以内に生じ,その後12時間までほとんど変化しなかった。3草種平均値で各ミネラルの遊離割合を比較すると,Kが最も遊離し易く,Cl,Ca,P,Mg,Sが続き,Siが最も遊離しにくかった。Kは水浸潰後5分間で元の試料の90%以上が遊離するのに対し,Siではほとんど変わらなかった。ミネラル遊離割合における草種間比較では,Mg,P,Kではオーチャードグラスがトールフェスクとペレニアルライグラスに比較して高い傾向が認められた。牧草個体間には多くの元素で有意差が認められたが,葉身横断面の位置の違いによる差は大きくなかった。
- 日本草地学会の論文
- 1995-01-31
著者
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