参画型グループ・エンカウンターの追跡調査に見る進行段階の様相(I) : 企画段階の成果と課題

概要

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参画型グループ・エンカウンターとは,参加者がグループでエクササイズを開発・設計し,開発者たちがリーダーとなり,他のグループがメンバーとなって実践する方式をいう。学生たちは実践データを分析し,卒論に仕上げた。企画・実践・卒論とたどる参画体験は,どのような成果をもたらしたか。本研究の目的は,その企画段階に焦点をしぼり,追跡調査をもとにグループ体験の成果と課題を明らかにすることである。調査対象は1995〜2000年の6年間に参加した89名(男19名・女70名)で,質問紙にて回答を求めた。結果は次の通りである。(1)参画型グループ・エンカウンターのイメージは"深く,熱く,良い"もので,現在も自己直面,共感,傾聴に影響がある。(2)企画段階の有意な成果は傾聴,協力,自己の開示と覚知,他者理解などに見られた。(3)リーダーシップや自己直面には課題を残し,楽しみながらも実践への不安があった。以上の結果から,企画段階におけるグループ体験は,集団凝集性を高めていく初期の体験であった。また,学生の内発的動機づけを刺激し,主体性を促した。更に,体験を共有するシェアリングを企画段階に設定すれば,実践への不安の軽減や集団を発達させることができるであろう。
2006-03-31