腰方形筋の等尺性収縮により誘発された上肢LLRの傾向

概要

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腰方形筋の等尺性収縮時に安静状態である右側短母指外転筋からF波を記録した際、LLRが出現した2名(対象者1、2)の比較検討を行った。対象者1は女性、年齢22歳、身長170cm、上肢長88cm、対象者2は男性、年齢23歳、身長180cm、上肢長92cmであった。波形分析は、振幅F/M比と振幅LLR/M比との関連性、F波とLLRの出現頻度の関連性、F波とLLRの立ち上がり潜時の関連性の3項目について比較検討した。今回の結果から、対象者1においては、腰方形筋の等尺性収縮時に上位中枢と脊髄での興奮性が共に増加することで、上肢筋に対応した上位中枢領域と脊髄の興奮性増加が生じたと考えられた。また、対象者2においては、上位中枢の興奮性増加に伴い直接的あるいは間接的に下行性経路を経由し、脊髄に対し抑制性に作用したことから、上肢筋に村応する脊髄の興奮性に変化を生じさせたと考えられた。このことから、考えられた神経生理学的機序をふまえ、抑制経路の機能が不十分と考えられる脳血管障害片麻痺患者における麻痺側上肢の連合反応は、腰方形筋の著明な筋緊張亢進によっても上位中枢を含む中枢神経系の興奮性増加が関与し誘発されることが示された。
2006-05-26