重度の感覚障害によって歩行に問題を認めた慢性期脳血管障害片麻痺患者の運動療法と重心動揺並びに筋電図学的検討 : 感覚刺激の重要性について

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両側の立脚相での重心移動が不十分であった、重度の感覚障害を呈した慢性期脳血管障害片麻痺患者に対して感覚刺激を中心とした理学療法を行なった。また、重心動揺並びに筋電図学的検討も平行して行なった。検査課題は、立位での前後左右最大重心移動を行なった状態で5秒間保持したときの、重心動揺と体幹筋の筋積分値を測定した。結果は、重心動揺に関しては、各方向ともに健常者と比較すると、重心動揺自体は低値を示しているが、その要素を比較すると、前後動揺が少なく、左右動揺が著明であり、これは、健常者と全く反対の結果であった。筋積分値を健常者と比較すると、左右重心移動時に、右内服斜筋の活動の上昇が見られた。これに対して健常者は左移動のときは左内腹斜筋、右移動のときは右内腹斜筋の活動が上昇した。よって、運動療法では、立位での重心移動を行い、その際、足底部の荷重感覚を意識した状態で行なった。17週後の最終評価時は、足底部の感覚障害の改善は認められなかったが、歩行では左右の重心移動距離が増加し、重心動揺検査では、左右の動揺が減少して、前後動揺が上昇して、健常者のパターンに近づいた。筋電図検査からは、左移動時は左外腹斜筋、右移動時は右外腹斜筋の活動が上昇し、内腹斜筋の活動パターンは健常者のパターンでは無いが、移動側の腹筋群の活動で、姿勢制御を行なうようになったと考える。このように、感覚障害の改善はされなかったが、荷重感覚を意識することで、健常者パターンの重心動揺、移動側腹筋群での姿勢制御が可能になり、歩行立脚相での重心移動距離が増加したと考える。
2004-03-31

重度の感覚障害によって歩行に問題を認めた慢性期脳血管障害片麻痺患者の運動療法と重心動揺並びに筋電図学的検討 : 感覚刺激の重要性について

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