ラット血清,肝臓中の各種脂質濃度におよぼすリノール酸多量投与の影響
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概要
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多価不飽和脂肪酸の摂取レベルの増加が生体にどのような影響を与えるか検討するため,リノール酸エチルとラードの混合割合を変化させた5種類の飼料をラットに投与し,体重増加や肝臓,血液成分,体脂肪,脂肪酸組成等の測定を行ない次のような結果を得た。1.総脂肪レベル20%の飼料中リノール酸エチルを0,5,10,20%の5段階にした場合の,0〜15%レベルでは体重増加,飼料摂取量,脂肪組織重量はほぼ等しかったが,20%レベルではいずれも明らかに低下が見られた。2.リノール酸エチルが20%レベルではヘマトクリット,ヘモグロビン濃度の低下が見られジアル酸溶血率も高かったが,肝臓中LPO濃度は特に急激な増加は見られなかった。3.血清中総コレステロール,リン脂質濃度は各群ほぼ等しかったが,中性脂肪濃度はリノール酸エチル量が高まるとき低下した。4.肝臓中総脂肪量は,リノール酸エチル含量増加に伴って増加の傾向が見られ,また肝臓脂質中のステアリン酸,リノール酸アラキドン酸が増加し,オイレン酸,パルミチン酸が低下した。以上各種の測定値においていずれも20%リノール酸エチル群では他の群と比較し著しい差異が見られ, 一種の過剰による障害の発現であると推定されたが,15%リノール酸エチル群においても他の群と有意差は見られないものの体重増加,ヘモグロビン,血清中性脂肪等の値が,20%リノール酸エチル群レベルに近づく場合があった。これらの結果から,多価不飽和脂肪酸を摂取全脂質中(特に高脂質食において)75%以上占めるような摂取は,生体になんらかの障害を与える可能性があることを推定できた。
- 1987-10-05
著者
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