日本人の糖尿病と微量元素に関する栄養学的研究
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概要
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糖尿病外来患者87名を村象として,罹病期間・合併症発症の危険因子となる肥満・禁煙・飲酒,主な3大合併症である腎症・神経症・網膜症の分類による臨床検査所見の変動を比較した。(1)罹病期間が長くなるに従って,血糖コントロールは悪化し,マグネシウムも同様に減少がみられた。(2)肥満になるにつれ,血糖コントロールは不良となり,HDLコレステロールやマグネシウムも減少傾向を示した。(3)喫煙者に血糖コントロール不良が多くみられ,マグネシウムは非喫煙者よりも低値であった。(4)FBSでは毎日飲酒する群が最も高く1.5AGも同様に悪い結果を示し,HbA_<1c>は飲酒による変動はみられなかった。(5)腎症,単純網膜症,増殖性網膜症,神経症を併発した群はFBS,HbA_<1c>は,もたない群に対して高値であるため,コントロールが良好でないことが示された。さらに,血中マグネシウムは低値を示した。(6)骨減少症とうつ病を合併している群においても血中マグネシウム量の減少が見られた。(7)マグネシウム摂取量を計算した。最初に穀類中のマグネシウム摂取量の年次推移を計算した。これは穀類中に含まれるマグネシウムの量が圧倒的に多く,これの計算のみでマグネシウム摂取量の年次推移の傾向を知ることができるからである。その結果年を経るとともに,徐々に急速に減少している。最近では日本人の栄養推奨量300mgに不足してきたことが分かる。これらは主に,日本人が穀物を徐々に摂取しなくなったためである。糖尿病の有病者数と死亡者数も年々増加してきている。糖尿病とMgとの関係は大きく,そのため食事によるマグネシウムの摂取は極めて重要なことである。このことからマグネシウムの摂取について国民はもっと注意を払うべきだと考えられた。
- 1998-03-31
著者
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