「自然観察の森」の教化施設としての特徴について
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概要
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身近な自然とのふれあいをとおして,自然に関する理解や保護の大切さなど,環境への関心を高めていく場の確保が重要である.この様な視点のもとで,環境庁の施策の一環として,1984年から1991年にかけて全国10箇所に「自然観察の森」が整備された.そこで,本研究では,これらの「自然観察の森」を対象に,野外観察施設の整備状況や自然保護教育活動の現状を調査し,その特徴や問題点を明らかにすることを目的とした.研究は,「自然観察の森」全10箇所に対して,アンケートを行い,野外解説施設の整備状況,利用者へのガイド状況,ボランティアの協力状況などを調査した.また,「横浜」,「油山」,「牛久」の3箇所は,現地調査及び管理者へのヒアリング調査も行った.(1)「自然観察の森」におけるネイチャー・トレイルの平均的な総延長距離は,2.6〜3.5kmである.利用者が1〜2時間程度で一巡するには長いが,「牛久」を除く9箇所でショートカットコースを設けている.今後,ネイチャー・トレイルの路線数を拡充して,利用促進のために,パンフレットなどにモデルコースを明示する必要がある.(2)ネイチャー・センターの展示では,地形や地質を展示していないところがあったが,地域の身近な自然を知るためにも,展示すべきである.展示内容では,鳥の巣や昆虫の飼育が,普段自然に接する機会の少ない都市近郊の住民にとって有効な展示である.展示の入れ替えは,6箇所で年間4回行われていて,リピーターが来園した際に季節の変化をとらえることができようになっている.(3)ネイチャー・トレイルでは,セルフガイド用の解説板が多い.また,現地に番号杭を立てリーフレットで確認する形式は,4箇所で行われている.この形式は,現地の美観を損なわずに,詳しく解説できる利点があり,もっと導入していくべきである.(4)ボランティア活動が,組織化されているのは「栗東」のみであり,ボランティア活動の組織化は今後の課題である.また,利用者の園内組織は5箇所で存在し,今後充実させていく必要がある.(5)広報活動としては,市や町の広報で,行事案内を掲載する方法が,全箇所で行われている.今後,中学生や高校生を対象にした行事,広報を充実していくことが重要と考える.
- 千葉大学の論文
- 1994-03-25
著者
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