諸外国の地理教科書にみる環境教育の一考察
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概要
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1.帝国書院から翻訳出版された世界地理教科書全30巻を通読し,そのなかから国情の差と世界全域を網羅することを考慮して23ヶ国を選び,地理教育における環境教育の一側面を捉える試みを行った.2.対象とした各国の教科書は,それぞれの国の教育制度,教育年限,教育事情が異なるため,対象年令が若干異なっているが,一部を除き大半は中等教育以上の教科書である.次代を教育する教科書という共通の基盤にたつものと理解して,以下の調査を行い若干の知見を得た.3.各国の地理教科書から環境と人間活動とに係る環境問題に関する記述を抽出してまず記述量を把握し,次いで記述の対象について13項目に分け,さらに42の細目に分類整理した.その結果は第1図,第2表,第4表に示した.4.抽出した記述量は全体で566記述,単純な一国平均は25記述となり,最高記述国は56記述のアメリカ合衆国であった.5.さらに記述量が多い項目第1位と第2位を基にして,各国の特色を把握し第3表のような5グループに分類した.6. 42種に細分した記述からは,各国それぞれの環境問題に対する関心の領域の広狭をうかがうことができるが,最も広範にわたって記述している国は記述量でも多いアメリカ合衆国であった.7.記述量と記述細目数とを基にすると地理教育の分野で,環境教育問題に関心を寄せている国とさほどではない国とに分かれる.関心が高い国と察知されるのは,アメリカ合衆国,フランス,オーストラリアなど10ヶ国であった.8.環境教育問題は,執筆形式にもよるが,単元 (章) や節を直接設けている関心が高い国は,第5表のとおり10ヶ国見られた.9.環境教育の方法,環境問題の中心に取り上げられている課題あるいは視点は,国情によって相当異なる.概観すれば先進諸国と発展途上国に2分され,さらに先進諸国では,その国の歴史の長さや国土の開発程度,国土面積の広狭によって異なる傾向が指摘できる.各国の環境教育に臨む姿勢と現状については第6表に示した.
- 千葉大学の論文
- 1984-03-30
著者
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