新潟県燕温泉の発展過程に関する研究
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概要
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豊かな自然環境が維持され,湯治場的色彩の濃い燕温泉を対象にして,その歴史的変遷過程を調査し,変遷過程の特徴を考察した.その特徴を以下に記す.(1)温泉の発見から集落の形成までは,まず,温泉の利用が起こり,浴槽等の施設ができ,その後,利用者を相手にする形でサービス業としての生活が始まっており,「利用→利用施設→生活」という順序で発展した自然発生型の温泉地である.(2)集落が形成されてからは,燕温泉の住民生活が,燕温泉利用者へのサービス業で支えられているために,まず,利用施設を整備し,次に,生活施設の整備という順番で,施設整備が行われてきた.(3)利用と利用施設の関係を見ると,1960年頃までは利用が先行し,この利用の実態をふまえた形で施設がつくられていたが,その後,まず,利用施設を整備し,この利用施設から利用を誘導する形に変化した.このことにより型にはめられた利用が行われるようになっている.(4)立地条件のため,必要最低限の開発しかなされず,素朴な湯治場であったが,自動車道の開通により孤立が解消し,徐々にではあるが都市的な性格がもたらされつつある.温泉地としては,小規模なこと,自然に囲まれていること,歓楽的要素の少ないことが,保健・休養の場としての価値を高め,「足繁く通いたい」という利用者の行動を生んできたと思われる.しかし,都市的な雰囲気が出はじめて,非日常的な体験ができなくなりつつある現在,独特の受け入れ態勢を確立するためにも地域が協力し合って行くことが必要である.
- 1993-03-25
著者
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