有機質土の練返し及び砂の混合特性
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概要
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高有機質土のうち,低位泥炭と黒泥土を対象に,有機物の機作の解明を試みるため,主として練返しと鉱物質の混入による影響を追求した.こうした人為的な操作による各種物理性の変化は,全体にデータのバラツキが多く,また,変化の状況も必ずしも一定の傾向を示すものではない.しかし,元来,不均一性の極めて高い材料であることからこうした現象も有機質土の特徴の一つであり,その取扱いは他の鉱質土や低有機質土とは同一にすることができない.本報では,練返しにより不良化した泥炭土や強度増加に限界がある黒泥土に粗粒の鉱物質を混入する方法による改良を試みたが,おおよその傾向を把握することができた.それらを要約すると以下のとおりである.(1)強熱減量(Lig)からみたデータのバラツキは泥炭土の平均値はx^^=83.0%,サンプル標準偏差はs_x=7.20となり,黒泥土はx^^-=18.0%,s_x=1.18となっていることから,泥炭土は黒泥土に比べて,有機物含有量は極めて大きく,また,不均一性の高いことが明らかである.(2)泥炭土を練り返すことにより,物理的な意味での分解度が高くなり透水係数は減少する.(3)泥炭土の練返し度を大きくすることによって液性限界は小さくなるが,その変化率は大きくない.(4)練返し泥炭土に砂を混入した場合,混合比が増加するに従って強熱減量は双曲線的に減少する.一方,透水係数は混合比が1:10までは大きな変化がないものの,1:13を越えると急に増大する.また,粗間隙率は砂の混合率の増加に伴って増えている.(5)黒泥土は乾燥密度が大きくなるに伴って一軸圧縮強度も増大する.(6)黒泥土は砂の混合率が増大すると乾燥密度は増大するが,一軸圧縮試験における破壊時のヒズミは減少する.一方,一面剪断試験においては砂の混合率が増えるに従って剪断抵抗角(φ)は増大するが,粘着力(c)は減少する.
- 1986-03-30
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