殺線虫剤の価値判断に関する知見 : 特に根瘤線虫の場合について
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概要
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根瘤線虫防除のために多くの化学薬品が現われているが,まだ結論に達していない.中には有効なものもあるが,実際上は価格が高すぎたり,取扱いが煩雑すぎる.数多の殺線虫剤の価値を判断するには各面から検討しなくてはならない.従つて殺線虫剤の検定には種々の方法を必要とする.第一に検定さるべきはin vitroで,(a)薬液中に一定種類の線虫を放つて接触効果を見る.(b)薬液中に線虫の卵塊を漬けて接触効果を見る.また薬剤のガスに卵塊をあててガス効果を見る.次に(c)殺菌力と(d)殺細菌力を見る.(e)また薬剤の土中透過性や吸着性もしらべねばならぬ.第二に検定さるべきは(f)ポット試験と圃場試験である.この試験では土壤燻蒸剤は除き,医薬及びその系列,殺菌剤特に水銀剤,殺虫剤と本来の殺線虫剤とをとりあげた.試験の結果をとりまとめると次の通りである.(1)各薬剤の1000倍液の殺線虫力試験では,Hexylresorcin, Y-N-A, Y-N-B, HgCl_2がもつともすぐれていた.(2)卵塊を各1000倍液に浸漬後,その孵化数によつて得た殺卵力試験では,Hexylresorcin, HgCl_2, PMF, Riogen, Folidol, N-244及びOo-Nematozideが有効であつた.(3)各薬剤の殺卵ガス効果試験では, Phemox, DCU-40, Systox, N-244, N-521, N-869が強力であつた.(4)菌核の殺菌力はHexylresorcin, Y-P-H, Y-N-A, Y-N-B, Oo-Nematozide及び水銀系殺菌剤が大であつた.(5)細菌を殺す力はUspulun, Riogen, PMF, Ceresan, Hexylresorcin, N-521, Y-P-Hの順であつた.(6) Hexylresorcinはどの土の種類でも土の透過性が大であり,ParathionやSystoxは土に吸着されることが大きい.また砂土ではUspulun, PMFはY-N-A, N-869に比べて透過力が弱く,壤土や埴土ではPMFが吸着され易く,Y-N-Aは透過し易い.(7)ポット試験で液剤の形ちで土に潅注した場合は,Y-N-A, Y-N-B, VC-13, Folidol, HgCl_2, Ceresan, PMF, Kiogenなどが有望であり,粉剤の形ちで土に混ぜた場合は,Y-P-H, Y-N-B, Y-N-B. 300, Cystogen, Folidol粉剤,HgCl_2, Ceresan石灰,PMFなどがよい成績を示した.以上の結果から種々の暗示を得られ,殺線虫剤の検定に多くの実験を併行して行うべきことが明らかとなるであろう.
- 千葉大学の論文
- 1956-12-30
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