葉線虫の有機燐剤並に人体駆虫剤に於ける態度について
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概要
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1.近時根瘤線虫Heterodera marioniに対して有機燐剤が殺虫効果あることが知れたが,結論は必ずしも一致していない.これに対し葉線虫に対する多くの試験では一様にそれら薬剤の殺虫作用が確認された.本論文ではキクの葉線虫Aphelenchoides ritzema-bosiについての実験を取扱つた.2.葉線虫の中毒現象は通常次の階段を追つて起る.最初激しい運動.次いで微動.痙攣.麻痺.そして最後に線虫が真直ぐにのびる硬直.この硬直棒状姿態は不可逆であるが,毒剤中に在つた麻痺線虫は再び活溌な運動をなしうる状態に快復することがある.3.0.05,0.017% Folidol,0.050,0.17% Systox溶液中にあること24時間で始めて硬直状態となり,0.05% Nissan-Parathionは120時間後,0.2% Pestox-3では96時間後,0.01% Santoninでは120時間後,そして0.05% Hexylresorcinでは僅か90分後に硬直状態となる.低温は致死時間を著しく延長する.4.0.05,0.017% Folidol,0.05,0,017% Systox溶液中に何日も存在した線虫は1,2,3,5,7,9日後夫々新しい井水中に戻されると運動力を快復する.5.0.05,0.017% Folidol,0.05,0.017% Systox,0.2% Pestox-3,0.01% Santonin,0.05% Hexylresorcinのうち最後のものでは90分後硬直死し,供試虫が,100%死ぬのに1昼夜しかかからなかつた.而もそれら死虫はも早や快復しなかつた.6.高濃度試験は,Hexylresorcin, N-TEPP, Nissan-Parathion, Pestox-3, Systox及びFolidolについて行つたが,濃度を高めても致死時間は僅かしか短縮し得なかつた.7.調製後20日を経た各種薬液の効果については,0.05,0.017% Folidol,0.05,0.017% Systox,0.2% Pestox-3,0.01% Santonin,0.05% Nissan-Parathion,0.05% N-TEPP,0.05% Nikkarinでは殆んど効果に変りなく,0.05% Hexylresorcinでは効果がやや弱まつた.
- 1954-09-30
著者
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