頭部外傷と危険選択
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概要
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【目的】頭部外傷既往に対する保険引き受けリスク評価について,経験指数的,文献的に考察し報告する。また,脳神経外科医の立場より頭部外傷手術と保険引き受けリスクについて意見を述べる。【方法】頭部外傷を第一欠陥コードに有する当社の被保険者集団の死亡指数の分析を行った。分析対象は一時払いを除く報状扱い契約とし,観察は,1996年度から2000年度の期間で第10保険年度までとした。【結果】対象経過契約件数は8,708件で,実死亡数(AD)は27件,同一観察期間における標準体受理契約の死亡指数を100%としたときの相対死亡指数(MR)は208%であった。年齢別では40歳未満がMR301%(AD12),40歳以上がMR167%(AD15),手術有無別では手術有りがMR177%(AD8),手術無しがMR225%(AD19),決定結果別では標準体がMR201%(AD22),標準下体がMR247%(AD5)であった。特に,40歳未満で手術無し,標準体受理の集団の死亡指数はMR356%(AD9)と高かった。さらに死因分析を行うと自殺と事故死のリスクが高かった。【考察】自殺と事故死には環境要因が大きい印象があるが,環境査定と医的査定を明確に区別するのは不可能である。環境査定的な部分も含めて,若年者の保険引き受けの際には一見軽微と思われても頭部外傷の既往があれば何らかの条件を考慮すべきである。文献的には,頭部外傷による脳ダメージとうつ傾向や注意力低下との関連を指摘するものが多かった。頭部外傷で手術適応になるのは血腫を形成するものであり,若年者の交通外傷に多いび慢性軸索損傷のような病態では手術適応とはならない。髄液漏などの合併症がない限り,頭部外傷の査定時には手術の有無よりも受傷時の脳ダメージで評価すべきと考える。
- 日本保険医学会の論文
- 2005-03-17
著者
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