血圧の被保険者集団の死亡指数に与える影響 : 特に脈圧と心血管疾患死の関係について
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概要
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【背景】近年,高血圧症の予後を決定するものは拡張期血圧ではなく収縮期血圧であるという報告に加え,収縮期血圧と拡張期血圧の差である脈圧が高齢者において心血管イベントの予測因子となるとの報告がなされている。そこで今回,脈圧という観点から,血圧の当社の被保険者集団の心血管疾患の死亡指数へ与える影響を検討した。【方法】観察期間は1996〜1999事業年度をおのおの第20保険年度までとし,観察対象は,医師による診査で血圧値を有し,標準体受理(限界体承諾を含む)もしくは,第一欠陥に血圧以外のコードを含む集団を除外した特別条件付承諾の集団とした。高血圧治療中のコードがはいっているものは除外した。データベースでは,収縮期・拡張期血圧は,10mmHgもしくは5mmHg間隔でしか保有していないため,脈圧は,各血圧階級の中間値を代表値として,その差でもとめた。観察対象に対して,男女別,収縮期・拡張期血圧別,脈圧別,年齢別で,生命保険数理法による死因別死亡指数を算出し,合計を全死因,脳血管疾患・心疾患・高血圧性疾患を合計したものを心血管疾患死とした。【結果】高齢者における脈圧の増大による心血管疾患死のリスク増は,今回の当社の被保険者集団を対象とした分析ではしめされなかった。これは,日本人では心血管疾患のうち虚血性心疾患による死亡が少ないことが関与している可能性がある。40歳以上の男性では,拡張期血圧は心血管疾患死の増大と関連をしめしておらず,収縮期血圧のみで,心血管疾患死亡リスクを評価しうる可能性がある。一般に高血圧で同じ血圧値であれば男性よりも女性のほうが心血管疾患死亡死亡リスクが低いといわれているが,60歳未満の若・中年齢群では同じ血圧値で女性の死亡指数が男性よりも高い場合があり,危険選択上,注意を要する。
- 日本保険医学会の論文
- 2002-12-17
著者
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