過腹囲は死亡リスクを上昇させるのか?
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概要
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【背景】胸囲よりも腹囲が大きな過腹囲は肥満体において死亡リスクを上昇させるという考えが,前世紀より広く保険医学的な評価方法として用いられてきたが,当社の被保険者集団を対象に,その考えの正当性を検証した。【方法】観察期間は1995〜98事業年度をおのおの第10保険年度まで,全身診査で標準体受理契約を対象に,胸腹囲差11cm以上,10〜0cm,過腹囲(0cm未満)の3群で,性別・年齢別・BMI別・死因別に生命保険数理法により死亡指数を算出した。【結果】胸腹囲差11cm以上,10〜0cm,過腹囲の3群の死亡指数は,それぞれ男性で74%(95%信頼区間,71-76%),69%(67-70%),76%(69-83%),女性で56%(54-58%),63%(59-66%),59%(51-67%)であり,過腹囲になるにつれて死亡指数が上昇することはなかった。さらに細分化した年齢別・BMI別での分析でも,過腹囲になるにつれて死亡指数が上昇するという仮説を指示する結果は得られなかった。特に45歳以上の中高齢群の肥満体では,過腹囲は胸腹囲差11cm以上群よりも死亡指数が低かった。死因分析において,過腹囲による死亡指数の上昇を示す死因は認められなかった。【結論】過腹囲が死亡リスクを上昇させるという考えを支持する結果は得られなかった。特に男性の45歳以上の中高齢者の肥満においては,過腹囲のために体格評価を厳しくすべきではない。
- 2001-12-17
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