虚血性脳血管障害の画像診断 : CT,MRI,SPECTの比較

概要

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虚血性脳血管障害81例を対象とし,CT,MRI,SPECTなど各種画像診断の有用性について比較検討した。虚血性発作の責任病巣についてみると,MRIで確認された病巣がCTでも確認された割合は大脳皮質,皮質下,小脳では60〜79%と比較的高かったが,基底核,視床は40〜44%,脳幹は27%と最も低く,脳幹梗塞の検討にあたってはMRIが必要条件になることを示唆している。また今回の検討では皮質下白質に散在する点状高信号域いわゆるUnidentified Bright Object (UBO)はMRIでのみ74%にみられたが,UBOの密度が高い領域での著明な血流低下は認められなかった。SPECTとMRIとの比較では,23例中19例でMRIの病巣を中心として局所脳血流低下がみられた。そのうち4例(21%)ではMRIの病巣と血流低下領域の大きさが一致したが,他の15例(79%)では血流低下領域がより広範にみられた。SPECT法は虚血発作急性期の病態の広がりとその後の経過を観察する上で臨床上きわめて有用な方法といえる。また,SPECT法によるcrossed cerebellar diaschisisは対象症例の43%に確認され,そのうち1例は小脳血流低下に対応する水平性眼振がみられ,皮質橋小脳路の障害による脳機能低下と眼振との関係が示唆された。
北里大学の論文
1990-06-30