片頭痛患者の頭痛随伴症状,特に皮膚異痛症に関する調査

概要

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背景 : 片頭痛に対する疾患特異的な治療法が臨床応用され効果を挙げているが,他方で薬剤抵抗性が問題となりつつある。片頭痛随伴症状の中でも皮膚異痛症(cutaneous allodynia)は片頭痛の発症機序や薬剤抵抗性に関与することが指摘されている。本研究は本邦における初の皮膚異痛症の調査である。方法 : 北里大学病院神経内科外来における片頭痛患者の頭痛随伴症状及び皮膚異痛症に関して問診での調査を行ない,皮膚異痛症と他の症状の関係を検討した。結果 : 本調査での皮膚異痛症の出現率は19.8%であった。皮膚異痛症を有する患者群では,片側性頭痛及び頭痛発作と関係の無い時に認められる皮膚異痛症とに有意な関連を認めたが,その他の随伴症状との有意な関連は認められなかった。結論 : 皮膚異痛症に片側性頭痛が多く認められた理由として,脳幹部の三叉神経節レベルもしくは副交感神経系の遠心性刺激伝導を反映している可能性が示唆される。また片頭痛発作と関係のない皮膚異痛症は血管三叉神経系の二次及び三次ニューロンにおける"wind-up"現象を反映している可能性がある。triptan治療の普及により皮膚異痛症の診断は今後重要になると思われる。
北里大学の論文
2004-12-31