痴呆性老人を介護する嫁の介護負担態と認識段階との関連

概要

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本研究の目的は、近畿圏内のデイサービスを利用する痴呆性老人を介護する嫁を対象に、介護負担感(CBS)と、痴呆介護の認識段階および嫁介護者・被介護者の特徴との関連を明らかにすることである。無作為抽出した90施設に302人分の調査を依頼し、33施設78人より回答を得た。その結果、認識段階の高低に影響していたCBS因子は、日常生活の援助と、痴呆症状への対応であった。また日常生活の援助における介護負視感は、嫁介護者の年齢が高く介護経験がない者ほど、被介護者に不潔行為や被害妄想があるほど重いことがわかった。痴呆症状への対応における介護負視感は、嫁介護者に介護経験がないこと、被介護者が移動に介助を要し不潔行為があることなどと関連していた。これより、痴呆介護に対する認識段階を高め、被介護者と嫁介護者がQOLを高めるためには、痴呆の理解とコミュニケーション等の対処方法を高めるための支援が必須であり、デイサービス等のサービス利用を進めるとともに、嫁介護者の認知面に働きかける当事者同士の交流や学習を伴う支援が必要であることが示唆された。
神戸大学の論文