信仰に関わる場所としての黄檗派寺院と黄檗派禅僧の関連について
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概要
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本稿は、国内における「信仰に関わる場所」に関しての歴史的展開過程についての具体的な(過常に言うところの実証的な)研究である。そして、それらの「信仰に関わる場所」の研究は、今もいき生きとしている「或る人間」に係わって展開してきた歴史についての研究でもある。そこで、2つの先行研究が具体的な「場所」を研究対象としてきたのとは異なって、本稿では「或る人間」の方を中心的な研究対象とすることを、先ずお断りしておかねばならない。前回の拙稿では、黄檗派寺院における「信仰に関わる場所」の在り方を国内における歴史的展開過程として述べた。本稿は引き続いて、そうした黄檗派寺院における「信仰に関わる場所」の在り方が、「或る人間」に密接に連結していることを強く提示したい。「或る人間」とは、国内の黄檗派寺院の歴史において、江戸時代前期に活躍して、日本の宗教界に、日本思想の世界に、ひいては日本の社会全体に、大きな影響を及ぼした渡来の僧侶と日本の黄檗派僧侶を取りあげた。主な「或る人間」は、中国僧としては隠元禅師はじめ独湛禅師、日本僧としては鉄文禅師と鉄牛禅師である。これらの「或る人間」は「信仰に関わる場所」に関して、幾つかの「発言」をしている語録が今日に伝えられているが、これらの「発言」は師資相承を強く標榜する禅の考え方によって、弟子達にしっかり指示されて、「信仰に関わる場所」の在り方が今日に伝えられているし、これからも伝えられて行くであろう、と考えられるのである。そうして伝えられて今日も息づいている「信仰に関わる場所」への着目が、筆者の研究への動機でもあり、原動力でもまたあるのである。
- 福岡国際大学・福岡女子短期大学の論文
- 2005-03-10
著者
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