<論文>宇佐・国東地方における念仏信仰の建築空間についての建築史的一考察

概要

論文の詳細を見る
最初に, 浄土信仰の在り方を示す仏教建築の建築空間が, 現存する富貴寺大堂や豊前善光寺本堂の中に見られることを指摘した。そして, それらが浄土を欣求する建築空間へと連なることを考えた後, これらの古建築のある地域である大分県宇佐と国東の両地方を念仏信仰の建築空間も存在する筈だと考えて, 具体的な研究領域として選択したことを述べた。そして, 念仏信仰の中心となっている浄土真宗寺院の本堂建築についての従来の建築史研究の限界を乗り越えるために, 再度両地方における浄土真宗寺院の建築を細かく調査した結果を報告したものである。浄土真宗寺院の本堂建築については, 従来指摘されていなかった次の諸点を明らかにした。先ず第一には, 現状の在り方から復元的考察によってかつての在り方, すなわち, 国内では最も古い建築遺構とされている在り方と同じ在り方を見い出した。次に第二には, 小さな寺院の歴史編年書を分析することによって浄土真宗寺院の建築の歴史的展開が単純ではないことを究明した。さらに第三には, さまざまな浄土真宗寺院の本堂建築の形式が江戸時代には存在しており多様であった具体的な歴史を明確にした。最後に, 浄土真宗寺院が宗教建築である以上, 巨大な浄土真宗寺院の本堂を目指してのみ建築史上の進展があるのではなくて, 理念としての浄土真宗の信仰に係わっての本堂建築の歴史をも考慮に入れて考察すべきではないかとして, これらの理念とか志向にも注目すべきことを喚起した。
2001-02-14

<論文>宇佐・国東地方における念仏信仰の建築空間についての建築史的一考察

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク