<論文>黄檗派寺院における坐禅を打つ場所についての建築史的一研究

概要

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宗教建築に対する建築上の要請として, 当然のことながら宗教上の働き(機能)が掲げられる筈である。しかし, 黄檗派寺院の建築に対しては黄檗派の禅の求める主要な宗教上の働きの一つが坐禅を打つことであることが明白であるにも拘わらず, 坐禅を打つ場所についての建築史的研究が行われていない反省に立って, 全国の黄檗派寺院における禅堂建築の調査研究および九州地域における坐禅を打つ建物に関する歴史的研究を敢行して, 調査結果を報告した。続いて, 従来の研究では坐禅を打つ場所は黄檗派寺院においては坐禅専用の土間式建物である「禅堂」あるいは所謂「坐牀を有する仏殿」と呼ばれてきた建物のみに限られると思われてきたのに対して, 坐禅を打つことを黄檗派の禅僧にとっての重要な信仰上の働きと考えると, 坐禅を打つ場所としては「法堂」や「開山堂」などと坐禅を打つことが兼用できる建物が用いられてきたこと, および, 日常生活が行われる住まい方の中において坐禅を打つことが行われたであろうこと, を提示した。
福岡国際大学・福岡女子短期大学の論文
2000-07-17