第一大臼歯の初期表層脱灰歯面に填塞したグラスアイオノマー系シーラントとレジン系シーラントの有用性の比較

概要

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フィッシャーシーラントは,臼歯部小窩裂溝う蝕の予防に大きな成果を示している。レジン系シーラントはグラスアイオノマー系シーラントと比較し,保持率は高いがう蝕予防効果については一定の傾向は示されていない。本調査では,レジン系シーラントとグラスアイオノマー系シーラントの保持状況とう蝕予防効果の比較を行うことを目的としている。対象者は108人の学童(平均年齢9.50±1.57歳)である。Sticky Fissureを有する第一大臼歯,143歯について,グラスアイオノマー系シーラントを61歯に,レジン系シーラントを82歯に填塞した。すべてのシーラントは標準的な方法で2人の歯科医により城塞された。その後,6ヵ月単位で2年間,予防失敗歯(Sticky Fissureまたはう蝕)の割合とう蝕(未処置歯または処置歯)の発生率を評価した。2年後,予防失敗率はグラスアイオノマー系シーラントで36.1%,レジン系シーラントで23.2%であり,その差は統計学的に有意であった(p<0.05,一般化ウィルコクソン検定)。また,予防失敗歯に対するフィッシャーシーラントの材質の影響を調査するためロジスティック回帰分析を行った。独立変数として予防失敗の有無(失敗=1,成功=O)を,従属変数として,年齢,シーラントの材質(レジン系=1,グラスアイオノマー系=2),DMF歯数,顎種(上顎=1,下顎=2)を採用した。ほかの要因を調整した状態であっても予防失敗歯とシーラントの材質とは統計学的に有意な関連が認められた(Odds比:1.61,D=0.04)。さらに,う蝕の発生歯数はグラスアイオノマー系シーラント填塞例から3歯(4.9%),レジン系シーラント填塞例から5歯(6.1%)であった。グラスアイオノマー系シーラントとレジン系シーラント間のう蝕発生率の差は,統計学的に有意ではなかった。以上より,グラスアイオノマー系シーラントとレジン系シーラントの比較ではう蝕発生率に有意な差はなかったが,予防失敗率はレジン系シーラントのほうが有意に良好であった。
2000-10-30

第一大臼歯の初期表層脱灰歯面に填塞したグラスアイオノマー系シーラントとレジン系シーラントの有用性の比較

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