初期う蝕処置におけるフイッシャーシーラントおよびシーラント併用レジン充填の有用性
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概要
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本研究は,小う窩に対するシーラント(以下SR)およびシーラント併用レジン充填(以下PRR)からの2次う蝕発生状況の評価,背景要因の分析,さらに,予防から治療まで一貫したう蝕管理プログラムにおける本法の有用性の考察を目的とする。解析対象歯は,施設単位のフッ化物洗口と選択的シーラントの複合プログラムに参加している児童・生徒57名において,SRおよびPRRが応用された第一,第二大臼歯66歯である。SR,PRRの対象は,小窩裂溝のう窩が2mmを超えない症例とし,軟化歯質の除去が#1/2ラウンドバーの使用で完了した場合SRを,バーのサイズを上げた場合PRRを選択した。処置歯の経過は0.5年単位(1〜7.5年)で観察した。SR(45歯)とPRR (21歯)合計66歯の7.5年後の累積生存率(カプラン-マイヤー法による)は,71.9±8.0(SE)%(累積2次う蝕発生率は28.1%)であった。SR,PRRそれぞれの累積生存率は, 71.0±9.1%(7.5年後), 75.2±14.8%(5.5年後)であり,両者間に統計学的有意差は認められなかった(一般化ウィルコクソン検定)。2次う蝕発生に関するロジスティック回帰分析の結果,回帰モデル(p=0.08)における有意な説明変数は[う蝕初発学年]のみで,1〜2年時の発生は3年以降に対しオッズ比が4.56であった。SR,PRRの予後は既報告例と大差なく,フッ化物応用など基本的な予防方法の実施を前提に,初期あるいは中程度う蝕に対する処置手段として臨床の場での採用を推奨できると考えられる。
- 2000-10-30
著者
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宮崎 秀夫
新潟大学歯学部予防歯科学講座
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佐久間 汐子
新潟大学医歯学総合病院口腔保健科予防歯科
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宮崎 秀夫
新潟大学大学院口腔健康科学講座
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佐久間 汐子
新潟大学歯学部附属病院口腔保健科
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葭原 明弘
新潟大学大学院医歯学総合研究科 口腔保健推進学分野
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佐久間 汐子
新潟大学歯学部附属病院 口腔保健科
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葭原 明弘
新潟大学歯学部予防歯科学講座
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宮崎 秀夫
新潟大学歯学部
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佐久間 汐子
新潟大学歯学部
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葭原 明弘
新潟大学歯学部
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