フッ化物洗口学童のフィッシャーシーラント処置歯に必要な経過観察期間

概要

論文の詳細を見る
フィツシャーシーラントの経過観察に必要な期間を推定することを目的に,フッ化物洗口とスティツキーフィッシャーを対象とする選択的シーラントの複合プログラムに5〜6年間参加した小学6年生から中学3年生計167人の,プログラム参加期間中に処置され,処置後5年以上を経過したシーラント273歯について保持状況を生命表分析(カプラン-マイヤー法)などにより評価した。その結果,全対象例の最終診査時のシーラント保持率は88.6%(初回:69.6%+再:19.0%の保持率)であり,う蝕発生率は9.9%であった。生命表分析による初回シーラントの8年後の累積保持率は68.3%,再シーラントの6年後の累積保持率は67.2%であり,両者間に統計学的有意差は認められなかった。また,観察期間に伴う累積保持率の推移は,初回および再シーラントともに,観察期間3年まで保持率が漸減するが,その後は微減から安定に推移する傾向が認められ,初回シーラントの脱落例のうち77.1%が3年以内に脱落した。また,う蝕発生例では1例を例外として保持期間は4年以内であった。以上の結果より,シーラントの重点的な経過観察期間として4年が適当と考えられる。
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
1999-04-30