猫における実験的トキソプラズマ症
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概要
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猫におけるトキソプラズマ症を解明するための基礎的研究として, トキソプラズマシストおよびオーシストを用いて感染実験を行った. 本原虫の猫に対する病原性はシストとオーシストでは異なり, また, 接種経路によっても異なった. シストを経口投与されて猫は6例全例が無症状感染し, 感染初期(5〜12日)にオーシストを排泄したが, オーシストを経口投与された例では, 3例中1例のみが投与5週後(38, 40日)にオーシストを排泄する感染を起すにとどまった. これらの猫はいずれも剖検時, 病変を示さなかったが, 原虫は, 肺, 筋肉などから分離された. 一方, シストを腹腔内接種した猫は, 3例全例が発熱, 食欲廃絶, 元気消失, 呼吸困難などの症状を示す致死的感染を起した. 剖検時には, 大量の胸水や腹水の潴溜がみられ, 肝の溷腫脹, 肺の炎性水腫もみられた. また, GOT, GPT値の著しい増加がみられた. 原虫は全身から検出されたが, オーシストの排泄は認められなかった. シスト経口投与猫3例に, オーシスト排泄終了後(感染後28日)にコーチゾンを5 mg/kg, 7日間連続投与したが, いずれの猫にも感染の顕性化やオーシストの再排泄は認められなかった.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1981-06-25
著者
-
勝部 泰次
国立予防衛生研究所
-
今泉 清
国立予防衛生研究所獣疫部
-
萩原 敏且
国立予防衛生研究所獣疫部
-
萩原 敏且
国立予防衛生研究所
-
勝部 泰次
国立予防衛生研究所獣疫部
-
武藤 健
国立予防衛生研究所獣疫部
-
醍醐 康雄
醍醐動物病院
-
武藤 健
国立予防衛生研究所
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