ケージ内同居感染マウスおよびその出生子におけるセンダイウイルスの病原性
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概要
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センダイウイルスのマウスに対する病原性と感染の経過を知る目的で, ddYおよびICR系4週齢マウスをあらかじめ本ウイルスを感染させたinfectorマウスと共にケージ内でcontactさせ, 30週間にわたって感染の推移を観察した. また同時に, これらのマウスから生まれた1代産子についても生後3週から16〜18週にわたって同様な観察を行った. その結果, いずれの系統マウスも, contact後1〜2日で気管や肺からウイルスが分離され始め, 6〜7日で全例に肺病変が形成された. 血中HI抗体は7〜10日で全例陽性に転じ, 抗体価は14日まで上昇し続けた. ウイルスは12日以降分離されなくなり, 9週後に陽性を示した一部の個体を除けば, 30週まですべて陰性であった. これとは逆に, HI抗体は30週まで全例が高力価を維持し, 過半数のマウスでは肺病変も30週まで持続した. しかし, 病巣部は時間の経過とともに気管支周囲に限局した. ICR系ではcontact後11〜16日の間に高い死亡率を示したが, ddY系のそれは低かった. 一方, 両系統マウスの1代産子は, 離乳時に高いHI抗体価を示したが, その後急速に低下し, 7〜14週齢で最低となり, この時期に一部の個体からウイルスが分離された. その後抗体は再上昇し, ウイルス分離も陰性になった. また, 1代産子における肺病巣発現率は感染親マウスより遙に低く, 立毛, 削痩などの臨床症状や死亡例はみられなかった.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1980-06-25
著者
-
今泉 清
国立予防衛生研究所獣疫部
-
斎藤 学
国立予防衛生研究所動物管理室
-
鈴木 映子
国立予防衛生研究所
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中川 雅郎
国立予防衛生研究所獣疫部
-
木下 邦明
国立予防衛生研究所獣疫部
-
中川 雅郎
国立予防衛生研究所
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