発情期および非発情期の雌ヒツジ尿のニオイに対する雄ヒツジの生理・行動反応
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概要
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発情期および非発情期の雌尿のニオイに対する成熟雄ヒツジの生理・行動反応の違いを明らかにする目的で実験を行った。採尿用にコリデール種の雌3頭(年齢8.4±1.3歳;平均値±標準偏差)、反応観察用に同種の雄5頭(7.0±3.7歳)を用いた。供試雄に尿を染み込ませた化粧箱を呈示して呼吸数,心拍数の変化、ニオイ嗅ぎ,フレーメンおよび興奮行動の発現を調べた。呈示条件として、発情期尿呈示(発情群),非発情期尿呈示(非発情群),および化粧箱だけを呈示する対照群の3条件を設けた。呼吸数は呈示前安静時よりも対照群で毎分約30回、発情群および非発情群では毎分約80回まで上昇した後に回復に向かった。回復の遅い方から発情群,非発情群,対照群の順であった。心拍数では3条件とも呈示直後に毎分6〜7回の上昇が見られ、その後対照群と非発情群では回復に向かったが、発情群では呈示開始1分後に再び毎分8回程度の上昇を示した。回復の遅い方から発情群,非発情群,対照群の順であった。ニオイ嗅ぎ反応は対照群では呈示直後1分間でのみ低い頻度(20%)で発生した。発情群および非発情群では呈示直後の1分間で100ないし100%に近い頻度を示した。次の1分間は非発情群は20%に低下したが発情群では約50%となお高かった。フレーメン反応は対照群では呈示直後1分間でのみ観察された(頻度20%)。発情群と非発情群では頻度に差は見られず呈示直後1分間で約80%、次の1分間で20%、次の1分間で20%を下回った。ケージ内移動など興奮を示す行動の発生頻度は対照群では呈示前後を通して20%であったが、発情群および非発情群では頻度が増加し呈示直後1分間において発情群で約70%、非発情群で40%の値を示した。以上の成績から、成熟雄ヒツジは雌発情期尿のニオイに対し非発情期と比較して生理的,行動的に持続的な反応を示すと結論した。
- 2004-09-24
著者
-
菅野 茂
東京農工大学農学部
-
竹村 勇司
東京農工大学農学部
-
塗師 憲太郎
東京農工大学農学部
-
小笹 直子
東京農工大学農学部
-
鎌田 壽彦
東京農工大学農学部
-
竹村 勇司
東京農工大学農学部生物生産学科
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鎌田 壽彦
東京農工大学
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菅野 茂
東京大学農学部
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菅野 茂
東京農工大 農
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竹村 勇司
東京農工大学
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