打鍵負荷にともなう手指皮膚温の変化

概要

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打鍵作業未経験の18才の女子130名,ならびにキーパンチ作業従事者50名を対象として,2分間打鍵負荷にともなう手指皮膚温の変化を観察した.また,別に,女子大学生4名を被検者として,同様の方法を用いて,繰り返し検査をおこない,個人内の反応の変化をみた. 1) 検査時室温が22∼26℃のとき,負荷前手指皮膚温は20∼36℃に分布し,室温と負荷前手指皮膚温との間に正の関連がみられた.11∼1月の検査においては,室温は17∼23〓であったが,室温と負荷前皮膚温との関係は,必ずしも一定ではなかった. 2) 2分間打鍵負荷にともなう手指皮膚温の変化は,負荷中,負荷後を通じて,負荷前手指皮膚温に関連した.負荷前皮膚温が36℃に近いとき,あるいは25℃以下のときは負荷にともなう皮膚温の変化は小さいことが多く,26∼35℃の範囲では負荷にともなう変化の大きいものの割合が多い.なお,観察した対象においては,打鍵作業経験の有無による差はみられなかった, 3) 以上の結果から,手指皮膚温の変化にもとづいて手指血管の反応をみる場合,皮膚温の変化の大きさのみでなく,負荷前手指皮膚温を考慮する必要があると考えられた.
社団法人日本産業衛生学会の論文
1970-10-20