8-10 テレビ用電波無響室

概要

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テレビジヨン放送の周波数帯で使用できる電波無響室を完成したので、概要を報告する。テレビジヨン受像機が高性能化、小形化するにつれて、アンテナを含めた受信系の研究開発は一段と重要性を帯びてきた。これら受信系に関する実験や測定は、従来、反射物の少い屋上とか、遠隔地の野原とかを利用していたが、これも機器の運搬の問題や雨天の日には実験ができない、などの不都合があった。また、測定の精度も必ずしも十分なものではなかった。今回、東工大の設計により当社に建設された電波無響室は、これらの不都合を十分に解消できるものである。使用限界周波数は、設計ではVSWRが1.2以内で70〔MHz〕〜1,000〔MHz〕であるが実際には高い方は10,000〔MHz〕まで、低い方は目的によっては〔500MHz〕まで使用できる。この電波無響室は、単に、受信系の感度やアンテナの指向性だけではなく、電波に関係するあらゆる機器の妨害波の実験などにも使用できることはいうまでもない。電波無響室は、当社技術本部の1階と地階を含む空間を利用し、幅6.5〔m〕、長さ18〔m〕、高さ6.2〔m〕の部屋の内壁に銅板をはりつけてシールド室を構成し、さらにその内壁に、厚さ約90〔cm〕の電波吸収壁をはりつけている。照明や空調は天井のコーナ部にて行ない、器具が床面から見えないように吸収壁のバリヤーでかくしている。また、色彩管理は実験者の心理状態と間接照明の能率を考慮して、床と天井は白色の発泡スチロール板で被い、側面は、床上1.5〔m〕の高さまでは白色の発泡スチロールで被い、それより上は吸収壁の生地の色(灰色)としている。(写真参照)
社団法人映像情報メディア学会の論文
1970-09-15

8-10 テレビ用電波無響室

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