水田の節足動物相ならびにこれに及ぼす殺虫剤散布の影響 : 第 1 報水田の節足動物相概観
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概要
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徳島県下の主要水田地帯を代表すると考えられる6地区を調査地に選び, 原則として, 各地区をそれぞれ代表すると考えられる4地点の水田で, 全水稲作期間にわたってほぼ15日間隔で6または7回, 捕虫網50回振り採集調査を1954年と1955年の2年間行ない, 得られた標本をダニ目を除いて一括した全節足動物群集について, その構造を分類学的および生態学的に解析した.1.得られた節足動物は2綱, 13目, 134科, 450種かこれ以上であった.このうち, 各地区で普遍的に得られた種類は, ツマグロヨコバイ, フタテンヨコバイ, ヒメトビウンカ, セジロウンカ, トビイロウンカ, フタオビコヤガなど30種で, これらのうち水稲害虫は8種, この天敵は2種であった.2.科数と種数は雙翅目, 膜翅目および半翅目において多く, これらの種数はそれぞれ190, 78および61かこれ以上であった.一方, 個体数は半翅目と雙翅目が圧倒的に多く, 1採集回あたりそれぞれ282.3頭(全体の46%)および266.9頭(全体の43%)であった.3.科内の種数は, みぎわばえ科, こまゆばち科, くろたまごばち科, ゆすりか科, ひめこばち科などにおいて, この順に多かった.しかし, 個体数は種類数の順位とは無関係に, ゆすりか科, よこばい科, およびうんか科の順に多かった.4.同一種の1採集回あたり個体数は, ツマグロヨコバイとヒメトビウンカが圧倒的に多く, それぞれ163.2頭と94.9頭で, 両者の合計は節足動物総数の42%に達した.5.食植性群と食肉性群を比較すると, 種数は前者の242かこれ以上に対し後者は295かこれ以上で後者の方がやや多かったが, 個体数は反対に前者が全体の90%を占めて圧倒的に多かった.6.水稲害虫の種数は41で全体の9%に過ぎなかったが, その1採集回あたり個体数は308.3頭で圧倒的に多く, 全体の50%を占めた.7.水稲害虫の天敵の種数は83かこれ以上で全体の18%を占めたが, その1採集回あたり個体数は25.0頭で全体の4.1%に過ぎなかった.8.捕食性群と寄生性群を比較すると, 種数はそれぞれ全体の23%と34%で後者の方が多かったが, 個体数は反対に3.4%と2.8%で前者の方が優勢であった.
- 日本昆虫学会の論文
- 1973-09-25
著者
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小林 尚
東北農業試験場:(現)農業研究センター
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小林 尚
東北農業試験場
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野口 義弘
徳島県農業試験場
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日和田 太郎
徳島病害虫防除所
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金山 嘉久正
徳島県麻植郡鴨島町農業協同組合
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日和田 太郎
徳島県農業試験場
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