KBr基板に作製されたバナジルフタロシアニン薄膜の初期堆積機構と単結晶形成過程

概要

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近年、バナジルフタロシアニン(VOPc)をはじめとする有機非線形光学材料が無機材料に比し、遙かに大きな非線形光学感受率を示すことから注目されている。有機非線形光学材料は、光シャッタ、光変調器、光メモリなどに代表される光エレクトロニクス素子への応用が考えられる。しかし、そのためには有機非線形光学材料の空間配列を分子レベルで制御し、均一膜化もしくは単結晶化させてやる技術の確立が重要となる。これまでに、我々は臭化カリウム(KBr)基板上に作製したVOPc蒸着膜の配向性や非線形光学特性について報告した。また、そのVOPc蒸着膜に熱処理をすると、KBr基板上にVOPcの単結晶が形成されることも報告した。今回は、KBr基板上におけるVOPc蒸着膜の初期堆積機構および熱処理によってKBr基板上に形成されるVOPc単結晶の成長機構について試料表面観察の結果から検討したので報告する。試料表面観察には、走査型電子顕微鏡(SEM)および原子間力顕微鏡(AFM)を用いた。
社団法人電子情報通信学会の論文
2001-01-11