培養心筋細胞内Ca^<2+>振動の細胞間同期とそのメカニズムの解析

概要

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単離した個々の新生ラットの培養心筋細胞は自発的な拍動を示し、細胞内Ca^<2+>濃度も拍動に伴って変化している(Ca^<2+>振動)。複数の心筋細胞からなる培養系は互いに同期した拍動を示すと共に、Ca^<2+>振動も同期している。本研究では、心筋細胞内Ca^<2+>振動の細胞間同期のメカニズムを明らかにすることを目的とした。培養開始から4日日においては、集塊中の心筋細胞ばかりでなく、集塊から離れた細胞のCa^<2+>振動も同期していた。ギャップ結合阻害薬の付加によっても同期は崩れず、またCx43に対する抗体を用いた免疫細胞化学的解析、Lucifer Yellowによるdye transfer解析によっても、集塊内の細胞と集塊から離れた細胞間でギャップ結合は未発達であることが推定された。Ca^<2+>振動の細胞間同期は拍動を停止させても持続したが、ATP受容体(purinoceptor)の阻害によって同期が崩れた。これらの実験結果は、心筋細胞内Ca^<2+>振動の細胞間同期に、ATP-purinoceptor系を介した細胞外情報伝達系が関与していることを示唆している。
社団法人電子情報通信学会の論文
2004-11-08