アストロサイト・グルタミン酸トランスポータGLT-1の機能逆転と神経細胞死の解析

概要

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本研究では、ニューロン・グリア共培養系を用いて、アストロサイト・グルタミン酸トランスポータGLT-1が神経細胞の生存にどのように関わっているか、その機能的および病理的役割を明らかにすることを目的とした。ラット胎児大脳皮質からニューロン・ダリア共培養系を作成し、神経細胞死を引き起こさない低濃度グルタミン酸存在下において、GLT-1を阻害すると有意な神経細胞生存率の低下がみられ、この生存率の低下はNMDA型グルタミン酸受容体を阻害することによって有意に抑制された。また、Na^+,K^+-ATPaseを阻害することにより大規模な神経細胞死が誘発されたが、この細胞死はNMDA型グルタミン酸受容体を阻害するか、またはGur-1を阻害することによって有意に抑制された。さらに、Na^+蛍光指示薬であるSBFI/AMを用い、アストロサイト細胞内Na^+濃度の変化を解析した結果、GMT-1によるグルタミン酸輸送と共役したNa^+の移動は、Na^+,K^+-ATPase阻害時においては逆向きである可能性が示唆された。このことから、細胞内外のNa^+、K^+濃度勾配が崩れるとGLT-1は逆向き輸送を起こして細胞外にグルタミン酸を放出し、神経細胞死を誘発することが示唆された。
2003-06-13