RKKY的層間結合を有する積層裏打ち膜の交換結合磁界の増大(磁性薄膜,磁気記録一般)

概要

論文の詳細を見る
垂直二層膜媒体のスパイクノイズの発生を抑制しその浮遊磁界耐性を付与する手法として, RKKY的層間結合を用いた強磁性/非磁性(FM/NM)積層膜について検討した. FM層の異方性磁界H_kならびにFM層間の磁気的層間結合定数Jを解析し,交換結合磁界H_<ex>増強のための積層膜の作製プロセス,材料,層構成を検討したところ,以下のことが明らかとなった.(1)FM層のH_kならびにJは, H_<ex>と透磁率μによって現象論的に定式化できる.(2)CoZrNb (50 nm)/Ru(0.7 nm)/CoZrNb(50 nm)積層膜においては, CoZrNb層成膜時のガス圧を低下させるとH_kが低下かつJが増加することにより,H_<ex>は13 Oeへと増加する.(3)上記層構成の積層膜において, CoZrNb層とRu層との界面に極薄高Co含有層を挿入すると,H_kは不変,Jは増加する結果, H_<ex>は著しく増強される.(4)薄高Co含有層の材料および挿入する界面について検討した結果,Ru層の両側もしくは下側の界面にCoもしくはCo_<90>Fe_<10>を挿入することがH_<ex>増強のために効果的であり, CoZrNb(50 nm)/Co_<90>Fe_<10>(0.7 nm)/Ru(0.7 nm)/Co_<90>Fe_<10>(2 nm)/CoZrNb(50 nm)なる層構成で,最大35 Oe の交換結合磁界が得られた.
社団法人電子情報通信学会の論文
2003-11-07