Lバンドウィンドプロファイラ観測における低高度でのデータ取得率改善(計測・探査)

概要

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低高度領域の風向風速計測に多く利用されるLバンドウィンドプロファイラでは,地上に近い低高度において,スペクトルフィッティングの失敗によりドップラー速度データに欠損が生じ,データ取得率が低下するという問題が生じている.本論文では,その原因を調査するとともに,処理アルゴリズムの改善を試みた.まずはじめに,ウィンドプロファイラにおいて,最低高度付近でデータ取得率が低下する原因を調査した.地形の影響を受ける低高度領域では,風速の空間的・時間的不均一性が大きい.そのため,風速の空間的・時間的な連続性を仮定したスペクトルフィッティングでは,エコー強度,ドップラー速度,速度幅の計測に失敗し,データ欠損を生じることが判明した.そこで,フィッティングよりも後段の処理アルゴリズム改善として,各ビームのデータ欠損状況に応じて,3次元風速ベクトルの各成分の算出に用いるビームの選択を変更する方式を提案した.フィールドデータ解析による評価の結果,高度3km以下の低高度において,従来法では20〜60%のデータ取得率であったものが,可変ビーム選択法ではデータ取得率が40〜80%まで向上することが分かった.
社団法人電子情報通信学会の論文
2004-05-01