ラットの膀胱排尿筋収縮に対するマグネシウムイオンの効果

概要

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ラット膀胱を利用して,電気刺激により膀胱の壁在神経を刺激することで得られた排尿筋収縮に対するマグネシウム(Mg)イオンの効果を実験した. 1.電気刺激に対するfrequency-response curveを求めたところ,Mg-free溶液中では排尿筋収縮は正常Krebs液中に比較して有意に増強され,逆に高濃度Mg(MgCl_2 5mM)溶液中では有意に抑制された. 2.Mgイオンをcumulativeに添加した場合,電気刺激に伴う排尿筋収縮は濃度依存性に抑制され,MgCl_2,30mMでほぼ完全に消失した. 3.高濃度KCl溶液中における排尿筋の持続的筋収縮に対して,Mgイオンは弛緩作用を示した. 4.VerapamilはMgイオンの収縮抑制効果に対して促進的に作用L,逆にBay-K8644は抑制的に作用した. 5.ProcaineによりMgイオンの収縮抑制効果は増強された.しかし,caffeineを添加してもMgイオンの作用に変化は認めなかった. 以上より,Mgイオンは,主に細胞膜に存在するCa-channelを抑制し,かつ細胞内Caイオンの放出を制限することにより,排尿筋収縮を減弱・消失させることが示唆された.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1992-10-20