根治的膀胱全摘出術後のurethralKock pouch蓄尿・排尿機能の尿流動態学的検討
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概要
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膀胱癌に対する根治的膀胱全摘出術,骨盤内リンパ節郭清後,urethral Kock pouchを造設した11歳男性症例において,排尿・蓄尿機能を評価するため,術後3〜21ヵ月に,排尿状態の評価と尿流動態検査を行った.排尿回数は昼間4.9±1.5回(mean±S.D.),夜間(就寝後)1.5±1.2回,1回排尿量は300〜550ml,残尿量は10〜30mlで,尿禁制は昼間11例(100%),夜間8例(72.7%)で保持された.pouchmetryでは最大容量429.2±82.4ml,pouch内圧は容量200m1時16.2±5.4cmH_2O,最大容量時38,7±11.5cmH_2O,排尿時最大内圧は80.0±19.4cmH_2Oであった.uronowmetryは腹圧排尿パタンで,最大尿流率15.2±6.5m1/sec,排尿量405.9±80.7mlで,残尿率は4,5±2.6%であった.外尿道括約筋部最大尿道内圧は,pouch空虚時28.0±11.3cmH_2Oから充満時64.7±27.0cmH_2Oまで増加した.urethral pressure profileにおいて,最大尿道閉鎖圧は,pouch空虚時30.2±12.4cmH_2O,充満時23.2±14.5cmH_2O,total profile lengthはpouch空虚時20.9±9.0mm,充満時20.0±7.6mmであった.膀胱全摘出後の尿路再建として,urethral Kock pouch造設術は,低圧reservoir作成と外尿道括約筋機能の温存が得られれば,ほとんどの症例で尿道よりの尿排出,尿禁制の保持が可能で,極めて有効な術式であることが示された.他方,排尿時pouch内圧は高く,長期的にpouchの形態的変化や輸入脚での逆流防止機構の障害をきたす可能性も否定できない.長期経過観察と検討が必要であり,特に排尿時pouch内圧の極度に高い例では,残尿の有無にかかわらず,間欠導尿の導入も検討する必要があると考える.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1992-08-20
著者
-
三宅 弘治
土岐市立総合病院
-
岡村 菊夫
名古屋大学泌尿器学教室
-
大島 伸一
社会保険中京病院泌尿器科
-
三宅 弘治
名古屋大学医学部泌尿器科学教室
-
近藤 厚生
名古屋大学医学部泌尿器科学教室
-
後藤 百万
碧南市民病院泌尿器科
-
岡村 菊夫
国立長寿医療センター泌尿器科
-
小野 佳成
小牧市民病院泌尿器科
-
吉川 羊子
碧南市民病院泌尿器科
-
三宅 弘治
名古屋大学 泌尿器科
-
佐橋 正文
静岡済生会総合病院
-
松浦 治
社会保険中京病院
-
絹川 常郎
市立岡崎病院
-
小林 峰生
名古屋臨床泌尿器科懇話会
-
小林 峰生
国立長寿医療センター病院 手術･集中医療部
-
佐橋 正文
小牧市民病院泌尿器科
-
榊原 敏文
榊原泌尿器科内科クリニック
-
榊原 敏文
西尾市民病院泌尿器科
-
小林 峰生
市立半田病院泌尿器科
-
岡村 菊夫
名古屋大学
-
大島 伸一
社会保険中京病院
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