神経刺激時における犬膀胱・尿道収縮の新直視下観察方法

概要

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雄成犬で恥骨を切除して膀膀・膀胱頚部・前立腺・尿道を直視下に露出し,骨盤神経・下腹神経・陰部神経を剥離し,各神経刺激時の膀胱・膀胱頚部,尿道の収縮を肉眼的に観察できる新しい実験モデルを創案した.この方法を用いて観察し次のような知見を得た. 1)陰部神経刺激時の尿道括約筋の収縮には,前立腺直下の外尿道括約筋部の輪状の収縮と,尿道尿囲横紋筋の縦方向の収縮の2種類の収縮があることが判明した.さらに後者の方が前者より強力であった.また,陰部神経を刺激すると激しく直腸,肛門が収縮し尿道に与える影響が多大であることも解った. 2)骨盤神経を刺激すると膀胱が収縮し膀胱底の筋壁が外上方へ引っぱり上げられてその結果膀胱頚部がanatomicalに開くような印象を受けた. 3) 下腹神経刺激時には膀胱頚部の締まるのが観察されたが,前部尿道の収縮は肉眼的にはほとんど認められなかった.私達の創案した膀胱・尿道収縮の直視下観察方法は,これまで内圧記録などの間接的方法で検討されていた膀胱尿道機能を直接肉眼でも観察できる点が優れており,今後この分野の実験的研究に役立つと思う.
社団法人日本泌尿器科学会の論文