超音波断層法を用いた神経因性膀胱患者の残尿量評価法

概要

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残尿測定は,神経因性膀胱患者の診断や治療経過観察上,欠くことのできない検査法の一つである.残尿量評価のもっとも正確な方法は導尿法であるが,患者に不快感を与えるだけでなく尿路感染や尿道損傷の危険性もある.一方,超音波断層法は簡便かつ非侵襲的であり,残尿の有無を検索するには最良の方法である.私たちは,超音波による残尿計測の定量性と臨床的有用性を検討した.まず予備実験として,残尿のある神経因性膀胱患者60症例で,超音波により計測した膀胱の最大前後,左右,上下径,横断面積,縦断面積,および膀胱を楕円体と仮定して楕円体体積の公式から求めた体積と,実際の残尿量との関係を検討すると,体積値がもっとも良い相関関係(r=0.9867)にあった.そこで,予備実験の60例を含む165症例で,膀胱を楕円体と仮定して超音波で計測した体積と,実測残尿量とを比較検討した.尿路管理法決定の目安となる残尿が50cc以上あるか否か,また100cc以上あるか否かを超音波により判定したところ,その正診率はそれぞれ92.7%,96.4%であった.超音波計測値(X)と実測残尿量(V)とは,回帰直線Y=1,024×+2,279,相関係数R=0.9809と高い相関係数を示し,計測値と実測値との差は-4.0±14,3(Meas±S.D.)ccで,計測誤差は最大54.2%,最小0%,平均15,9%であった.以上より,超音波断層法による残尿測定は,定量的評価法として臨床的に有用と思われた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文

超音波断層法を用いた神経因性膀胱患者の残尿量評価法

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