前立腺癌の排尿障害に対する経尿道的マイクロ波凝固療法

概要

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前立腺癌の著明な排尿困難や血尿に対して経尿道的マイクロ波凝固術を導入し,その臨床効果を検討した.対象とした前立腺癌患者は6例で,うち2例がStage B2,4例がStage Dであった.主訴として肉眼的血尿2例を含め全例に著明な排尿困難を認めた.マイクロ波凝固術は経腹壁的超音波モニターを利用し,前立腺部尿道の中央に外径8mmの凝固用アンテナを置き,出力100watts,60〜120秒間施行した.さらに,膀胱内浸潤を認めた3例に対しては外径3.3mmの凝固用アンテナを用いて膀胱鏡観察下にマイクロ凝固術を追加した.本法の臨床的効果は,自覚症状,残尿検査,尿道膀胱造影,超音波検査,CTなどから評価した. 経尿道的マイクロ波凝固術後,肉眼的血尿は消失するとともに全例で良好な自然排尿が得られた.また,残尿量は治療前に比べ著明に減少した.副作用としては全例に頻尿を認めたが一過性であった.尿失禁,尿道狭窄,出血,穿孔などの重篤な合併症は皆無であった.本法は手技も容易で安全に施行でき高齢者,poor-risk患者に対しては特に有用であると思われる.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1988-10-20