紀伊半島四万十帯,上部白亜系美山層中に見いだされた海洋地殻断片
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概要
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MORB型の玄武岩から, ミクライト質石灰岩・層状チャートを経て, 半遠洋性の赤色泥岩にいたる連続的な遠洋性堆積物の重なりが, 紀伊半島の上部白亜系美山層中に見いだされた。チャートは, 下位からCCH, TCH, MCHの3つのタイプに岩質上細分される。CCH型は, 石灰質チャートと不透明鉱物に富む凝灰質層との互層であり, TCH型は非石灰質のチャートと不透明鉱物に富む凝灰質層と互層である。MCH型は非石灰質チャートと粘土鉱物を主体とする泥質薄層との繰り返しである。これらの重なりは, 放散虫化石の検討により, Hauterivian-BarremianからTuronian-early Coniacianにかけての連続した堆積物であることが確認された。また, 化学組成の検討から, Ceの負異常が系統的に減少していくことも認められた。このような岩質および化学組成の系統的な変化は, もともと中央海嶺付近にあった堆積場が, 古太平洋の海洋拡大によって徐々に中央海嶺から離れ, 水深を増加させてCCDよりも深くなり, かつ, 徐々に陸域に近づいていった過程を反映したものと解釈される。この遠洋性の重なりをもった海洋地殻の断片は, 四万十帯堆積物の起源や付加過程の解明に重要な情報をもたらすものである。
- 日本地質学会の論文
- 1997-06-30
著者
-
公文 富士夫
信州大学理学部物質循環学科
-
公文 富士夫
Department Of Environmental Sciences Faculty Of Science Shinshu University
-
武蔵野 実
Department of Earth Sciences, Kyoto University of Education
-
松山 尚典
Oyochishitsu Co.
-
武蔵野 実
「砕屑岩組成と堆積・造構環境」編集委員会
-
公文 富士夫
信州大学理学部
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