原子炉用黒鉛中の不純物元素の分析化学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
黒鉛中の不純物元素の実態を知るため,4か国11銘柄の黒鉛材(100kg〜3.3t)から切り出した23ブロック試料を精密に分析した.分析用粉末試料(各約100g)は,ブロック試料(各約1kg)を炭化タングステンバイトで削り,よく混ぜて調製した.12元素(Al,Ca,Cd,Co,Cu,Fe,Li,Mg,Mn,Ni,Ti,V)の定量は,開発した黒鉛の湿式酸化分解法で得た溶液から行った.結果の要約は次のとおりである.(1)主な不純物は鉄,カルシウム,ケイ素で,チタンがこれに次ぎ,アルミニウム,バナジウムは銘柄によってはチタンと同程度存在する.(2)未精製黒鉛材には400〜2400ppmの灰分が含まれていた.灰分(不揮発性不純物の酸化物の総和)は,黒鉛材の外部より内部のほうが高い.硫黄の不均一性は金属元素ほどではない.(3)ブロック試料から直接取った1g-試料は非常にばらついた分析値を与え,これは不純物のコロニーの存在を示す.(4)黒鉛の腐食は灰分よりも鉄分によって増大する.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1986-11-05
著者
-
橋谷 博
島根大学理学部化学科
-
吉田 秀世
日本原子力研究所
-
井澤 君江
日本原子力研究所
-
安達 武雄
日本原子力研究所環境科学研究部
-
吉田 秀世
日本原子力研究所東海研究所分析センター
-
安達 武雄
日本原子力研究所東海研究所分析センター
-
安達 武雄
日本原子力研究所
-
橋谷 博
島根大学理学部化学教室
-
井澤 君江
日本原子力研究所東海研究所分析センター
関連論文
- メチレンブルー発色法を用いた水中溶存酸素の簡易現場定量法(環境科学と分析化学)
- 陽イオン交換分離-アルセナゾIII光度法によるジルコニウム及びその合金中のこん跡ウランの定量
- 原研高度環境分析研究棟の概要とその利用計画
- 不純物元素定量のための黒鉛の湿式酸化分解法
- 汽水湖生態系の特性と日本における研究の現状(汽水湖, 河口域, 干潟生態系の特性と環境問題)
- 原子炉用黒鉛中の不純物元素の分析化学的研究
- 湿式酸化分解-吸光光度法による黒鉛中のこん跡硫黄の定量
- フッ化水素酸-ホウ酸系陽イオン交換分離法を用いるジルコニウム中の微量チタン,アルミニウムの逐次定量
- アセチルアセトンをデマスキング剤とする水中フッ素の直接定量
- 1-ニトロソ-2-ナフトール抽出光度法による耐熱合金及びウラン中のコバルトの定量
- 核不拡散の動向と日本原子力研究所の取組み
- 緊急時環境線量情報予測システムSPEEDIの現状と今後の展開
- 過酸化水素吸光光度法によるジルコニウム合金中のニオブの定量
- 陰イオン交換分離-スルホクロロフェノールS吸光光度法によるタンタル中のこん跡ニオブの定量
- オキシン抽出光度法によるニッケル基・鉄基耐熱合金中のアルミニウムの定量
- オキシン抽出光度法によるジルコニウム基, ニッケル基ならびに鉄基合金中のモリブデンの定量
- 12 核燃料分析・原子炉材料分析
- チモール光度法によるジルコニウムおよびジルカロイ中のこん跡窒素の定量
- チモール光度法によるウラン中の窒素の定量
- チオテノイルトリフルオルアセトンによる水銀の抽出吸光光度定量
- オキシンならびに2-メチルオキシンを用いるパラジウム,ロジウムの吸光光度定量
- チモールを用いるアンモニア窒素の光度定量法
- アリザリンコンプレクソンを用いるこん跡フッ素の簡易光度定量法
- ジルコニウムおよびジルコニウム合金中のこん跡アルミニウム,マンガンの定量
- オキシン抽出光度法によるジルカロイ中のスズの定量
- オキシンによる微量ジルコニウム,ハフニウムの抽出光度定量 : ウラン中の微量ジルコニウムの定量
- オキシン抽出光度法によるウラン中のモリブデンの定量
- ウラン中の微量銅の定量 : オキシン抽出光度法